原将人『双子暦記』2部作SONGSライブ
[開催日]
2025年1月20日(月曜日)16時開場。16時30分『双子暦記 私小説』、19時00分『双子暦記 星の記憶』『双子暦記』2部作SONGライブ
《双子暦記 私小説》
若松孝二監督の死から始まる本作を、今年14回忌にあたる大いなる先達に捧ぐ! 原 將人
<概略>
原 將人監督による私小説ならぬ私映画 2024年/日本/115分/日本語/カラー/16:9/撮影:2012年~2017年/2018年東京ドキュメンタリー映画祭・長編部門・グランプリ/撮影地:京都・奈良・三重・大阪・大分・福岡・山口・広島・岡山・兵庫/監督・シナリオ・撮影・編集・音楽:原 將人
<ストーリー>
62歳にして双子の父となることが分かった監督原 將人は、生まれてくる子供たちのためにブラックなバイトを始める。京都の狭い路地を駆け巡る出前、湯葉づくり、老舗旅館の夜警、どれも3ヶ月とは続かずクビになる。そして最もブラックだったタクシー運転手。タクシーの車窓から撮られた京都の名所の風景が、改めて昭和が終わったことを告げる。
しかし、ラッキーだったのは、待ち時間に、奈良の山林や三重の青山高原などが撮影ができた、測量の助手の仕事だった。この星に生まれてよかったと思われる星、地球の風景を思う存分撮ることができたのだった。その原付バイクでの移動に、アフリカで樹上生活を捨てて草原で二足歩行し、地球中に伝播したホモサピエンスの旅を重ねた原の、双子姉妹に会いに行った九州の妻の実家からの旅は、二日がかりの原付の旅になる。
そして物語の最後、原は、休みを取って、九州の妻と双子姉妹を迎えにいくのだが、友人に借りたワゴン車が高速道路でスリップし、大破する・・・。
一命を取り留めた原は、なぜ事故は起きたのかと考える。風を切って走る原付と、高速での密室の自動車のスピード感覚の違い。そして、高速からの車窓の風景に、映画のスクリーンのワイド化をも重ねてみるのだが・・・。
<見どころ>
原はナレーションや字幕が説明的になるのを避け、70数首の短歌を挿入している。赤子の映像にかぶさるその短歌を、四年後の文字を覚えた双子姉妹が朗詠する。映像と音の時間の重なり。映画の多層性。映画の愉悦!そして、監督自らのピアノと歌によるライブ演奏、SONGSライブ!
《双子暦記 星の記憶》
<概略>
『双子暦記 私小説』の姉妹編。原 將人の最新作にして最高傑作!(と原は語る)2024年/日本/85分/日本語・星の言葉/カラー/16:9/撮影:1999年~2020年/撮影地:京都・ミラノ・ローマ・ペサロ・ウルビーノ・フランクフルト・鳥取砂丘/監督・シナリオ・撮影・編集・音楽:原 將人
<ストーリー>
何故双子暦なのか。真の暦とは何か。原は、便宜的に使われているに過ぎない、西暦(キリスト暦)や年号(天皇暦)に異議申し立てをしたいと思っていた。しかし、原が提案したい、ビッグバンを紀元とする宇宙暦や地球誕生を紀元とする地球暦や、生命誕生を紀元とする生命暦などは、観測の結果からの推測でしかない。それぞれ138億年、48億年、35億年を前後して諸説ある。そこで悩み抜いた末、到達したのが双子誕生を紀元とする双子暦だったのだ。それを踏まえてこの作品を見てほしい。
物語は双子暦紀元前15年、双子姉妹の兄誕生から始まる。その時、双子の星から、光速に近い速いスピードで、地球に向かっていた双子姉妹は、宇宙空間を航行していたというSF的アプローチに始まり、その間、14歳年上の兄は父母に連れられ、イタリア、ドイツなどを旅していたと、旅の8ミリ映像でイントロが構成される。
地球に到達した双子姉妹は直立、二足歩行と、地球での学びを重ね、星の言葉も地球の言葉にアップデートされていく。そのプロセスが、古都・京都の風景と、鳥取砂丘の砂の惑星のような風景のなかで、父親ならでは視線で捉えられる。
とりわけ、クリスマスイブの夜中、姉がRSウィルス感染で緊急入院し、翌日、それを知らない妹が姉を探して泣く<初めての離ればなれ>のところは、見るたびに涙がでてくると原自ら語る、必見のシークエンスだ。
そして、姉妹は双子暦8年に入学を迎える。ところが、コロナの季節で入学式の翌日から休校。だが、新入生だけの特別あづかりで通うことができたのだった。父は改めて双子姉妹に、「地球にようこそ!」と言う。
<見どころ>
こんなに子供が言語を獲得していく過程に密着した映画があっただろうか?特筆すべきは、それが二人の娘たちへの二人称として語られることだ。ホーム・ムービーであり、子育て映像日記であり、それがメタ・フィクション、メタ・SFを構成するところに、かってなかった映画力が発揮されている。それが、上質なエンターテインナメントなっていることに、見るものは驚かされるだろう!映画史に新しいページを開く傑作!しかも監督自らその場ででナレーションと歌を加えたSONGSライブである。
[イベントスケジュール]
2025年1月20日(月曜日)16時開場
16時20分 トーク
16時30分『双子暦記 私小説』
19時00分『双子暦記 星の記憶』
20時30分 アフタートーク
21時終映
[入場料金]
料金各2500円通し 4000円